病院で亡くなった場合、遺体を自宅や斎場などへ移す「搬送」が必要です。安置後にドライアイスなどで遺体を保全したり、枕(まくら)机(づくえ)を設置したりするなどは原則として葬儀社の役目となります。
葬儀社が決まっている場合は担当者に連絡を取ります。決まっていない場合の選択肢は主に3つあります。①病院に紹介された葬儀社に依頼する、②寝台自動車会社に依頼する、あるいは③自分で運ぶことも可能です。病院の提携する葬儀社に頼む場合は、搬送だけを依頼することを明確に伝えます。
病院と提携している葬儀社に依頼する場合は、「病院から自宅までの搬送」と内容を限定して依頼することをおすすめします。なぜなら、病院紹介の葬儀社が良心的とは限らず、搬送をきっかけに葬儀全体を請け負おうとする業者も少なくないためです。搬送を依頼したとしても、葬儀全体を任せる必要はありません。
遺体の搬送がすんだら、精算をして葬儀の見積りをもらい、葬儀社には帰ってもらいます。ほかの葬儀社にも問い合わせて、納得できる業者に依頼しましょう。
②寝台自動車会社に依頼する場合
遺体を搬送する場合は、病人を寝かせたまま運べる仕様にした寝台自動車を利用します。依頼すると、専門スタッフが原則2人組で搬送業務を行います。葬儀社と提携している寝台自動車会社が多いですが、個人でも頼めるので、利用しやすい業者があるか病院などに問い合わせてみるのもよいでしょう。
料金は、走行距離や所要時間、搬送した時間帯のほか、道路事情や「階段で運ぶ」などの手間賃、衛生上利用する防水シーツなどの実費がプラスされることもあります。長距離の搬送ではあとで驚くほど高額な請求を受けることもあるので、事前におおよその値段を確認しておきましょう。
病院から遺体を遺族が自家用車で搬送することは規制されていないので可能です。ただし、ワンボックスカーやライトバンなど、遺体を寝かせた状態で乗せられる車が必要となります。遺体は防水シーツで包み、布団や毛布を敷いて遺体をくるむようにします。加速や減速時に動かないよう、座席への固定方法も工夫が必要です。なお、警察に質問された場合に身分を証明する免許証など、さらになぜ遺体を運んでいるのかを説明できるように死亡診断書を携帯してください。