Point!
・対面して最後のお別れをする
・喪主は出棺の際にあいさつをする
棺のふたを開けてお別れをする。
葬儀のあとは、棺が祭壇の前に出されて、ふたが開けられます。遺族や近親者、親しい友人が故人と対面して、最後のお別れをします。ほかの会葬者は外で出棺を待ちます。
これが最後の対面となります。このとき、「別れの花」といって、葬儀社の人が、祭壇に供えた花をお盆にのせて渡してくれますので、一人一輪ずつ遺体のまわりに飾ります。
故人の愛用品や、故人にあてた手紙を棺に入れることもありますが、金属やプラスチック類など、燃えにくいものは火葬炉を傷めるおそれがあるので控えます。お別れがすんだら、棺のふたをします。
「釘打ちの儀式」を行う
棺にふたをしたら、「釘打ちの儀式」がなされますが、最近では省略されることが多いです。本来は、葬儀社が半ば打ち込んだ釘を、身近な人が手にした丸石などで、真似ごととして釘の頭を叩きます。地方の慣例では、喪主から順に3回ずつ、軽く打つなどのしきたりもあります。
習俗的には、「封印儀礼」の助力や故人との「決別儀礼」という説もあります。確かに、ふたを覆ったあとの「釘打ち」は故人との大きな節目を誘うものでしたが、このような儀礼は衰退してしまいました。
釘打ちが終わると、出棺となり棺は霊柩車に乗せられます。遺族や親しい人が両側に立って棺を持ちます。昔の自宅葬では縁側から出たり、出棺時には茶碗を割ったりするなどの「葬送慣例」が見られました。霊柩車に乗せたところでドアが締められ、全員が合掌し、平頭します。
出棺前のあいさつをする
棺を霊柩車に乗せたあと、喪主あるいは親族代表が会葬者にお礼のあいさつをします。あいさつに決まったルールはありません。会葬へのお礼と故人への思いを自分の言葉で伝えることが大切です。
喪主があいさつをしている間は、喪主の代理が位牌を持ち、それに次ぐ遺族が遺影を持って、遺族全員が会葬者に向かって並びます。あいさつが終わったら一礼します。
出棺時の弔(ちょう)笛(てき)(クラクション)
棺を乗せた霊柩車が火葬場に向かって発車するとき、長いクラクションを鳴らすことがあります。会葬者への感謝や別れの気持ちを込めて鳴らすものですが、その由来は諸説あります。たとえば、寺院の鐘や楽器演奏の代わりという説や、出港・発車する船・汽車が鳴らす汽笛にならったという説などがあります。最近は、周囲の住宅などに配慮して、クラクションを鳴らさないこともあるようです。
出棺前のあいさつ(例)
私は故人の長男の○○でございます。故○○○○のためにご会葬いただきまして、ありがとうございます。おかげさまで、滞りなく葬儀を終え、ここに出棺の運びとなりました。生前はひとかたならぬご厚誼にあずかり、故人にかわりまして、心より感謝申し上げます。
母は、1年前にガンを患い、闘病生活を送っておりましたが、一昨日、容体が悪化し、帰らぬ人となりました。入院中も見舞いに行った私たちを気遣ってくれる、優しい母でした。
これからは残された家族が力を合わせて生きてまいります。皆様には変わらぬご支援、ご厚誼をよろしくお願いいたします。最後までお見送りいただき、ありがとうございました。