Point!
・医療費の自己負担額を一定額超えると超過分の還付が受けられる
・自己負担の限度額は年齢と所得により異なる
一定額以上の医療費が還付される制度
高額療養費の払い戻し制度とは、国民健康保険や健康保険を利用し、1か月の医療費の自己負担額が一定額を超えると、その超過分が払い戻されるものです。亡くなったあとでも申請が可能で、2年以内に手続きをします。
国民健康保険では、医療費を支払った2~3か月後に「高額療養費の払い戻しのお知らせ」が送られてきた場合は、窓口に持参して払い戻しを受けます。
健康保険組合によっては、手続きをしなくても自動的に払い戻しをしてくれます。
自己負担の限度額は所得により異なる
自己負担限度額は、治療を受けた人が70歳以上か未満か、および所得状況等により、左表のように設定されています。
70歳未満の場合の自己負担限度額は各市町村役所に問い合わせてください。
また、過去2か月の間に3回以上自己負担額を超えて高額療養費の還付を受けた場合、4回目からは限度額が軽減されて「多数回該当」の枠の金額になります。
高額療養費還付の手続き
●どこに
健康保険の場合は、健康保険組合事務所または勤務先の所轄の年金事務所。国民健康保険の場合は、市区町村役所の国民健康保険課
●いつまでに
受診した月の翌月の1日から2年以内、または、通知書を受け取った日から2年以内
●必要なもの
・高額療養費支給申請書
・故人の健康保険証
・医療機関の領収書
・振込口座番号、世帯主名義の通帳
・印鑑
●高額療養費自己負担限度額(70歳以上の人の区分)
所得区分
自己負担限度額
多数回該当
①区分ア
報酬月額83万円以上
25万2600円+(総医療費※―84万2000円)×1%
14万100円
②区分イ
報酬月額53~79万円
16万7400円+(総医療費※―55万8000円)×1%
9万3000円
③区分ウ
報酬月額28~50万円
8万100円+(総医療費※―26万7000円)×1%
4万4000円
④区分エ
報酬月額26万円以下
5万7600円
4万4000円
⑤区分オ(低所得者)
被保険者が市町村民税の非課税者など
外来(個人ごと)8000円
2万4600円
⑤区分カ
区分オで所得が一定以下
外来(個人ごと)8000円
上限額(世帯ごと)1万5000円
※総医療費とは保険適用される診察費用の総額(10割)。
高額療養費を計算する
算出方法にある総医療費とは、実際にかかった金額のことで、自己負担額とは異なります。たとえば、自己負担率が3割で、医療機関で10万円支払った場合、実際の医療費は120万円と計算します。入院時の食事代や差額ベッド代など保険診療外の料金は含まれません。
高額療養費の計算一例
月収50万円の人が1か月の入院で100万円の医療費がかかった場合(上表③区分ウ)
医療機関に払った金額(3割負担)
30万円
↓
自己負担額
8万100円+(100万円―26万7000円)×1%=8万7430円
↓
払い戻される金額
30万円―8万7430円=21万2570円