遺言書の有無を確かめる

Point!
・遺言書が見つかったら開封せず保管
・裁判所の検認が必要な場合も

遺言書が見つかったら
遺言書は、法定相続よりも優先されます。存在を知らずに相続人による協議をしたあとで遺言書が出てきて覆されるということもあります。まずは遺言書があるかどうか調べましょう。
明確に保管されている場合はいいのですが、存在が知られていない場合もあります。自宅のほか、故人が最後に過ごした病院や施設も探してみます。貸金庫に預けてある場合は、通帳に金庫使用料の引き落とし記録が残っているので確認しましょう。公正証書遺言を作成していた場合は、最寄りの公証役場で検索することもできます。故人が死亡したことがわかる除籍謄本と、検索する人が相続人であることを示す戸籍謄本などが必要です。

遺言書があったら、まず検認の手続きを
遺言書を見つけた場合、公正証書遺言以外は家庭裁判所で「検認」を受ける必要があります。遺言の中身を確認し、偽造や変造を防ぎ、利害関係者に遺言の存在を知らせるためのものです。
検認済証明書が添付されてはじめて遺言に沿った手続きが可能となります。公正証書遺言は公証人が作成した公文書なので検認は必要ありません。
また、封印をしてある遺言書は勝手に開封してはいけません。家庭裁判所で相続人の立ち合いのもとで開封します。

検認の立ち合い
家庭裁判所に提出すると、後日、家庭裁判所から検認の連絡が届きます。指定された日に家庭裁判所に行き、遺言の検認の立ち会いをします。検認手続きがすんだら、いよいよ遺言書にもとづいて相続手続きを進めていく流れになります。遺言に遺言執行者が記されている場合、遺言執行者が相続人を代表して、遺言に沿って粛々と手続きを進めていきます。

遺言書に記載されていない財産があった場合
遺言書に記載されていない財産がある場合は、相続人全員で協議をする必要があります。そして遺産分割協議書に全員の実印を押して遺産分割をします。
また、財産を把握していない、ほかにも財産があるかもしれないなどというときは、財産調査を専門家に依頼されることをおすすめします。

遺言書を隠したり偽造したりした場合
遺言書に自分の思惑と違うことが書いてあるなどの理由で遺言書を故意に隠したり、捨てたり、偽造したりすると「遺言書の隠匿」とみなされ、相続欠格となり、相続できなくなります。さらに私文書偽造罪など刑事訴追の対象となることもあります。

遺言書の種類(→P211)
●自筆証書遺言
被相続人が自筆した遺言書。2019年1月から財産目録のみワープロやパソコンで作成することができる。検認は必要。
●公正証書遺言
公証人が作成するため証拠力が高い。検認も不要。証人が2人以上必要で、費用もかかる。
●秘密証書遺言
存在は公証されるが、内容は秘密にできる。証人2人以上必要で定額の手数料(1万1000円)がかかる。検認も必要。

Check
遺言執行者とは
遺言執行者とは、遺言書に書かれた通りの相続を行うための責任者です。遺言執行者が必要となるのは、遺言書の中に、婚外子の認知や、相続人の排除やその取り消しがある場合です。遺言執行者は遺言書の中で指定されていることが多いのですが、もし指定されていなかったら、家庭裁判所が選任します。

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