納棺に際して行うこと
・死装束に何を着せるか決めておく
・副葬品を用意する
できれば家族の手で納棺(のうかん)するのが理想
遺体を棺に納める大切な儀式が納棺です。納棺の時期に決まりはありませんが、通夜の前、家族がそろったときに、みんなの手で行うのが理想です。ただ最近は、葬儀社にすべてを任せることも多くなっています。
死装束(しにしょうぞく)を着せる
納棺する前に、故人に旅立ちの装いである「死装束」を着せます。「経帷子(きょうかたびら)」という白一色の着物は、前合わせを左前で着付けるのが一般的です。あの世へ出る支度として、手・足に手甲(てっこう)・脚絆(きゃはん)という装飾品をつけ、わらじを左右逆にはかせます。また、三途の川の渡し賃として、印刷された六文銭を入れた頭陀袋(ずだぶくろ)を首にかけて手に数珠を持たせます。
死装束は、葬儀社の見積りに含まれており、葬儀社が用意し着せてくれます。最近は、故人の愛用した服や着物を死装束として着せ、死装束一式は棺に入れるという方法も多くなっています。
副葬品を用意する
納棺するときは、棺の底に薄い布を敷き、頭の部分に枕を置きます。遺体を寝ていたシーツにくるむようにして、頭、脚、胴を支えて持ち上げ、棺の中に寝かせます。
故人の愛用品を副葬品として、一緒に納めることができますが、事前に葬儀社に確認しましょう。燃えにくいものは入れないようにし、眼鏡や指輪などは骨壺(こつつぼ)や別の箱に入れて納骨のときに一緒に納めます。
遺体と副葬品を棺に納めたら、全員で合掌をしてふたをします。棺には金襴(きんらん)の布などの覆いをかけます。自宅で葬儀を行う場合は、祭壇に安置し、斎場を利用する場合は搬送します。
副葬品の例
【ふさわしいもの】
●愛読書
●愛煙家はタバコ
●枕
●経典
●生花
【入れてはいけないもの】
※燃えにくいもの
●金属類
●プラスチック類
●ガラス類
●指輪などの宝石、眼鏡、ゴルフクラブ
【縁起がよくないとされるもの】
●家族の写真
洋服を着せたかったけれど…
死装束エピソード
母が亡くなったとき、死装束はカラオケの発表会で着た洋服にしたいと思いました。それを葬儀社に伝えたとき、「すでに死後硬直しているので難しい」「納棺師に依頼する必要がある」などといわれたため、その洋服は母の上にかけてあげました。その形も多いそうですが、もっと早くお願いすれば洋服を着せて納棺できたと知り、後悔しました。