長年にわたる供養の意味

Point!
・供養とは、故人の魂を大切にし、「ご先祖」として祀り上げていくこと

肉体の死は、魂の誕生という考え方
葬儀が終わった後、初七日(しょなのか)、四十九日(しじゅうくにち)、一周忌、三回忌、三十三回忌など、何度も長年にわたって行われる法要(→P94)。なぜそんなに行われるのかと考えたことはありませんか?
日本の習俗では、死は魂の肉体からの分離であると考えられてきました。肉体から離れた魂は、生まれたての赤ちゃんのような存在です。赤ちゃんは育て方により成長が変わります。場合によっては新生の魂は地域社会に被害を加える「荒(あら)魂(たま)」ともなりかねません。
そのため、「荒魂」を鎮め、精霊としてあの世に行き、やがて「和魂(にぎたま)」(日本の神霊観の1つ)となるよう、地域共同体を主体として葬儀がなされてきました。現代でもご近所や町会などが葬儀の中心となる地域も多いのはこのためです。

供養エピソード
「あの世」はこの世と価値観が正反対
魂の向かう、いわゆる「あの世」はこの世とはすべてが正反対です。時間も反対なので、朝の明るい時間帯のあの世に故人を送り出すことがよいとされ、以前は夜に葬儀を行いました。通夜や、ろうそく、提灯などの明かりはその名残です。出棺の際に故人が使っていたお茶碗を割るというのも、この世で壊れたものはあの世で完成するという考え方によります。

この世の子どもの成長と重なる、魂の成長
すべてがこの世と逆回りをするあの世。下の図を見るとわかる通り、供養はすべて赤ちゃんの成長のお祝いと重なっています。お産の忌明けであるお宮参りと四十九日、お食い初めのお祝いと百か日の法要、初誕生日にあたる一周忌、そして無事に成長することが難しかった昔に、その成長を祝った七五三にあたる三回忌、七回忌、十三回忌。子供は一般的に7歳くらいまでは病気にかかりやすいものですが、魂の場合も7回忌くらいまでは不安定で、供養を怠るとたたられると考えられていました。
成人して結婚する、いわゆる一人前になるのが三十三回忌で、ここで魂は大人になったと見なされ、「弔い上げ」といって、供養はおしまいになり、仏壇から神棚に移されて祀られます。このときから、魂は子孫を守ってくれる神になるのです。
つまり、供養とは、魂を大切にして、やがて「ご先祖」として祀り上げていくことと考えられてきました。最近は少なくなりましたが、日本の家庭に仏壇と神棚が無理なく同居していたのは、こうした理由によるのです。

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