遺言がある場合

Point!
・遺言書の内容が最優先される
・法定相続人には、遺留分での保障も

遺言は法定相続よりも優先される。
遺言は、遺産分割の割合を指定したり、分割方法を指定したりするだけでなく、法定相続人以外の人に財産を残す内容のものもあります。相続が発生し、遺言書があった場合は、原則として遺言書の内容に従って遺産を分配することになります。

遺言で遺言執行者の指定があるか
遺言執行者とは、遺言の内容を実際に実現させる役目を担う人です。相続人のうちの1人か、弁護士や行政書士等の第三者が選任されていることが多いです。
遺言執行者の指定がある場合は、遺言執行者が相続人を代表して、預貯金の解約や不動産の名義変更などを行っていきます。相続人が複数いる場合などは、遺言執行者が指定されていることにより、手続きがスムーズに進みます。
特に法定相続人以外の者に不動産を遺贈する場合など、遺言執行者がいないと法定相続人全員の関与が必要となり、遺言が執行できなくなる可能性もあります。そのような場合は、家庭裁判所に申し立てをすることで、遺言執行者を選任してもらうことが可能です。
遺言執行者を選任しない場合は、相続人の代表が、公正証書遺言の正本または検認済自筆証書遺言を各金融機関に提出し、預貯金を解約したり、法務局に提出したりして、不動産の名義変更を行っていきます。この場合、相続人全員が手続きに参加する必要があります。

法定相続人に認められる最低限度の権利「遺留分」
遺言は、法定相続よりも優先されます。しかし、その遺言で遺産がすべて他人に渡ってしまっては遺族の生活が成り立たないこともあります。
民法では、被相続人に近い遺族への配慮をする半面、被相続人の自由な遺志も尊重するため、このようなことが起きてしまいます。
このため、一定の法定相続人には最低限の権利として「遺留分」が認められています。
遺留分は、法定相続分の2分の1ですが、父母や祖父母のみの場合は3分の1となり、兄弟姉妹には遺留分は認められません。

「遺留分減殺請求」とは
遺言によっては、すべての財産を特定の1人に相続するケースも見られます。その場合、ほかに法定相続人にあたる人は相続財産をまったくもらえなくなります。そのため相続人に最低限の相続財産を確保するための権利を主張できる「遺留分減殺請求」という制度があります。

「遺留分」の定義
相続財産の中で、一定の相続人に残されるべき財産の割合のこと。対象となる被相続人の財産には、生前贈与も含む場合があります。被相続人は生前と同様に、遺言によっても自分の財産を自由に処分できるのが原則です。相続分の指定も自由なので、指定がないときに法定相続が始まります。しかし、遺言の自由を放任してしまうと、被相続人に依存して生活してきた人の経済的基礎を失わせる場合があるため、この制度が設けられました。

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