Point!
・好みの形式に自由に書ける
・希望を記入できるが、法的効力はない
自分も家族も納得できる終末を迎えるために
「終活」という言葉がすっかり定着してきた昨今です。終活とは単に自分の身の回りを整理しておくことだけではなく、死を迎える瞬間をどのように過ごしたいか、死後はどのように送られたいかということを考えておくことでもあります。もし、意思疎通の難しい状況で延命措置が必要となったら、どこまでそれを望むのか、葬儀や埋葬はどんな形がいいのか、など、いざというときのことを考え、家族に伝えておくことが大事です。しかし、そのような話題を家族と面と向かって話し合う機会というのもなかなかないものです。会話だけでは記憶が曖昧だったり、聞き違いもあるかもしれません。
そんなとき、「エンディングノート」という形に残しておくと、突然のことが起きても家族に自分の思いを伝えることができます。
エンディングノートとは?
エンディングノートの書き方に決まりはありません。その辺の紙に書いただけでもいいのですが、家族に伝えるということを考えると、ノートのような形になっているものがいいでしょう。パソコンやスマートフォンの中に残してもかまいませんが、パスワードがわからない、そもそも存在自体がわからないということになりかねません。
最近は数多くのエンディングノートが市販されていますし、葬儀関係の資料を請求すると無料で付いてくるものもあります。自治体の「終活セミナー」などで配布されていることもあります。ウェブサイトからダウンロードするものもあります。
エンディングノートの内容
何を書いても自由ですが、何でもよいといわれるとかえって困って書きにくくなるものです。市販や配布されているノートは次のような項目に分けられていることが多いです。
●自分のこと
自分史のように、人生を振り返って書いてみます。また、本籍地や家系図などのルーツも。マイナンバーや証書関係についてもわかるようにしておきましょう
●財産のこと
遺言書のような法的拘束力はありませんが、どんな財産があって通帳や書類、遺言書はどのように保管されているかを記録しておきます。
●医療について
家族はどんなに手を尽くしても「もっと何かできたのでは?」という悔いを抱えるものです。延命措置はここまでというような意志がはっきり記されていると、家族の負担は軽減します。臓器移植や献体などの希望もあったら記しておきましょう。
●身の回りのこと
ペットが残される場合はどうするか、SNSの退会はどうするのか、それに必要なアドレスやパスワードも記しておきます
●葬儀や埋葬のこと
希望する葬儀や埋葬の形や規模、連絡してほしい人の名前や連絡先を残します。友人関係など遺族は知らないことが多いものです
一度に完成させる必要はない
エンディングノートには、自分史のような記述タイプに多くのページをさいているもの、チェックリストにチェックしていくだけでよい手軽なものなど、さまざまあります。自分に合ったものを見つけ、あまり構えず気軽に始めてみましょう。完璧を目指す必要はありません。書けるところからいてもいいですし、あとで変更するのも自由です。
家族のコミュニケーションの材料としての利用も
ふだん話題にしづらい死や葬儀のことも、ノートを見ながら「これはどうする?」とすれば話しやすいし、具体的に理解しやすいものです。自分だけでなく家族みんなの考え方の確認にもなります。