これを押さえておけばもっと安心!遺産相続のギモン

「こんなときはどうする?」「何のこと?」など、よくある疑問をQ&A方式で解説します。

Ⓠ家業に従事し、業績を伸ばして財産を増やした長男も、ほかの兄弟姉妹と同じ割合の相続しかできないのですか?
A.特に遺言に指定されていない場合は、法定相続分通りに配分します。しかし、家業を継いで業績を伸ばした、または長年介護を続けてきたというような場合は、「寄与分」が認められることもあります。遺産総額から先に寄与分を受け取り、残りを法定相続分として分割するものです。相続人全員の合意が必要です。合意が得られない場合は、家庭裁判所に審判を申し立てることができます。

Ⓠ遺産分割協議はやり直しできますか?
A.原則としていったん成立した分割協議はやり直しできません。ただ、脅迫による成立だったことが認められた場合は取り消しが可能です。相続人を排除、または新たな相続人を加えた場合はやり直します。分割協議後に出てきた遺産については、その遺産のみの分割協議をします。

Ⓠ遺産分割が終わったあとに遺言書が見つかったのですが、どうしたらいいですか?
A.原則的には、遺産分割協議の内容に遺言と違う部分があったら協議の内容は無効になります。常に遺言が優先だからです。ただし、相続人全員が遺言と違う協議の内容を認めたら有効となります。1人でも遺言通りの相続を主張した場合、また相続人以外の人が遺言に含まれていた場合は、遺言に従って協議のやり直しとなります。

Ⓠ両親は離婚。私はずっと母と生活していました。父が亡くなったので葬式に参列したところ、遺産は相続できないといわれましたが?
A.離婚されたお母さんは配偶者ではないので相続権はありません。しかし、婚姻中に生まれた子どもには相続権があります。お父さんが再婚されて子どもがいるとしても、同じ比率の権利があります。もし、相続を拒まれたり、感情的にもつれるようだったら、家庭裁判所に調停を申し立てるか、弁護士に相談してみましょう。

Ⓠ亡父のゴルフ場の会員権を売却したいのですが、そのまま売却できますか?
A.ゴルフ場やリゾートマンションの会員権などは、いったん相続人の名前に名義変更します。それぞれの管理会社に連絡し、必要な届け出をして名義を変更します。売却するにしても、いったんこの手続きが必要となります。

Ⓠ相続税の申告を忘れたり、期限を過ぎたりしたら、どうなります
か?
A.申告が必要だったが申告していなかった場合と、税務署調査で申告の間違いを指摘された場合は、修正申告をします。この場合無申告加算税や過少申告加算税が課せられます。意図的に相続財産を隠して申告しなかったと認められると重加算税が課せられます。これは過少申告の場合35%、無申告だと40%と厳しいものになります。

Ⓠ遺言書通りに相続すると、相続分の多い長男だけが相続税の負担が大きくなってしまい、長男が難色を示しました。どうしたらいいですか?
A.遺言書は最優先されますが、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議もできます。たとえば、自宅等は遺言書通りに長男が相続し、その他の財産については分割協議を行うことができるのです。

Ⓠ息子が先に亡くなっています。その妻はずっと故人を支えてくれていたので遺産を分けたいのですが?
A.民法ではすでに亡くなっている息子の配偶者には相続権を認めていません。息子夫婦に子どもがいたらその子が代襲相続しますが、妻は代襲相続できません。このような場合は、遺言で指定するか、生前贈与を行いましょう。生前に養子縁組をしておくという方法も。

Ⓠへそくりやタンス貯金も相続税がかかりますか?
A.すべての現金や預貯金は相続財産ですので相続税の対象となります。税務署の調査で申告漏れを指摘されることが多いのは、専業主婦で無収入だった妻が生前やりくりして貯めた貯金や現金、被相続人が自分以外の名義で貯めていた預貯金などです。

Ⓠ夫婦が同時に亡くなった場合の相続はどうなりますか?
A.相続は死亡日だけでなく時刻によっても発生します。明らかに死亡時刻が違う場合は、後に亡くなった人が配偶者として相続します。ただ、交通事故などでほぼ同時に亡くなったと推定される場合はお互いの相続をしないことになり、子どものみ相続します。子どもがいない夫婦の場合は、それぞれの親が相続することになります。

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